
銀座AP(仮称)でのオレのジイサン人気は絶大である。
ジイサン限定(65歳~上限なし)では間違いなくNo.1だ。
もはや敵なし。
介護福祉士のような役割を果たしているからな。
ただし若手からの食いつきはあまり振るわない。
若い男子も好きなのに…。
先日、某大手企業5名様のお席でのこと。
5名様の内、4名様は30~50代前半であったが、お一人だけ、どう見てもかなりシルバーな方がいらした。
聞けば74歳だとおっしゃる。オレの親父より年上である。
シルバーさんはハジケタ歌をキュートなダンス付きでノリノリに
披露し、年齢を全く感じさせない。
お連れの方達からもイイカンジでイジられていて、和気あいあいとした雰囲気である。
オレは水割りを作り、煙草に火を点け灰皿を取り替えるという、ごくごく当たり前の業務をこなしていた。
それをジッと見ていたシルバーさんが呟いた。
「あんた、気が利くねぇ。大したもんだ」
「いえいえ、こんなの普通です」
「いや~さっきから見てるけど、そのさりげなさはさすがだな。それにあんたには清潔感がある。
アタマも良さそうだ。なかなかいないぞ」
「いえいえ、そんな…」オレは謙遜した(一応)。
シルバーさんはピースライトを吸いながら遠い目で語り始めた。
「今日久々に銀座に来たけど、このへんも変わったねぇ。この店は初めてだが」
「そうですね。そうおっしゃるお客様は多いですね。この不況で昨年は150店近く閉店したそうですし、『銀座は変わった』というお声はよくお聞きしますね」
「そうかい。俺は30年前はホントによく来てたんだ。毎日のようにな。
K社の専務までやったんだぞ」
「K社の…スゴイですねぇ。エリート!」(←お決まりのヨイショ。大切です)
「いやいや、今は引退したただのジジイだよ。その頃のホステスは良かった。サバケてたなぁ。
『ちょっと帰りに家に寄っていいかい?』って聞くと『いいわよ』って、必ずヤラしてくれたもんだよ」
「はぁ、そうなんですか…(話半分に聞いておこう)」
「オネエチャンのマンションに着くと、裸で待ってるんだよ。で、すぐ始めるんだ。
コッチが服を脱ぐまで待ってくれないんだよ。で、着たままヤルんだ。
最初は手だけでスルんだが、それでオネエチャンがイっちゃうもんだからさ…。
その後、彼女が口でヤッテくれるんだがオレもイっちゃってね。ズボンが汚れて困ったよ。
洗濯したりしてな。アッハッハッハ~~~!!」
(よく聞きます、そのテの昔の武勇伝。
鵜呑みにはしませんが、生々しいっす。
しかし、親父より年上の方のそーゆー話はちょいと…)。
そう思いながらも天使の微笑みを返すオレである。
オレの笑みは「菩薩」と呼ばれている必殺業なのだ。
「それにしてもあんたは可愛い。実に可愛い」
「そんな…そんなことないです」
「その謙虚さがまたいい!!ところで、あんた、ジルバは踊れるかい?」
「いえジルバは…。勉強不足で申し訳ありません」
「踊れないのか~。残念だな。昔はジルバを踊りながらいろんなところを触って、
それで気持ちを高めてから部屋に流れ込んだんだよ」
「さよですか」(←だんだんと聞き流す方向に)
「ジルバはちゃんと練習しておきなさい」
昔のホステスさんはジルバを踊ったんすか?
いつの時代だよ!?
帰りがけにシルバーさんがオレの耳元で囁いた。
「俺、まだ勃つから。今度ヤろうな」
「はぁい。期待してまーす♪」
イヤです。ま、実現しないだろうけど。
「ヤラせろ、ヤラせろ言う客は、自分がまだ女の子から男だと見られてるか確認したいだけで
ホントにヤリたいわけじゃないから温かく接してあげなさい」
と、浅草橋の社長がよく言っていたな。社長、その後すぐにクビになっちゃったけど…。
予定調和の会話が連夜繰り返されているものの、老人は親父とダブって多少やりにくい。
こなしますけど。仕事ですから。
時給上げてくれ~~~。
暑くてマターリするサスケくん。
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